中国からの反応

台湾側の欺乱時期終結宣言から1か月余りたって、中国側は台湾問題を担当する「中央台湾工作弁公室」を通じて、次のような3つの提案を行ってきました。


ひとつは海峡両岸の関係部門ならびに責任団体は、「三通(通郵、通商、通航)政策」実現のために速やかに話し合いを開始すること。


もうひとつは、中国共産党ならびに国民党は代表を派遣し、正式に両岸の敵対状態を終結させるための接触を行うこと。


そして最後に、中国は国民党の責任ある代表者の大陸訪問を歓迎し、また台湾側が中国共産党の代表を招待すれば喜んで台湾を訪問して、国家の問題を話し合う用意があるというものです。


・・・この3つの提案のなかで中国側は、平和的統一と一国両制の方針は揺るぎないものだと強調。


この方式をもって統一が実現した以降は、台湾の資本主義制度と現行の政治.社会制度は変更せず、台湾は「特別行政区」として高度の自治権と司法の独立、さらに軍隊を保有する権限を持つとしています。


しかし、台湾側はこれらの提案に対して、即座に拒否する姿勢を明らかにしました。


台湾統一のためには武力の使用も辞さないとする中国側の従来の態度や、驚異的な経済発展を示した、いわゆる「台湾経験」を受け入れないことなど、従来の主張や立場に何の変化もないというのがその理由でした。

敵意ある政治実体 2

国家大業のスケジュール「動員裁乱時期」終結に先立つ91年3月、台湾立法院は「国家統一綱領」を決定しました。


「国家の大業」だとする大陸統一政策について、その理念と方向を定めた今後の基本綱領です。


その統一へのレールは・・・


1.まず短期的には交流によって理解を促進し、互恵によって敵意を解消する。


相手方が政治実体であることを否定せず、良性の相互連動関係を打ち立てる「交流互恵の段階」


2.双方が敵意を解消した中期段階では、対等かつ公式の意思疎通のパイプを確立し、ハイレベル人士の相互訪問を実現する「互信協力の段階」


3.そして統一への気運の整った長期段階で初めて両岸の人民の意思に基づき、統一を話し合う協商機構を設立する「協商統一の段階」


・・・という3つの段階に分かれています。


91年4月末、台北で取材した「両岸関係セミナi」の席上、この「統一綱領」案をまとめた立法院国家統一委員会の施啓揚主任(当時)は、その基本戦略を次のように説明しました。


「われわれは中国側が言う『一国両制』、すなわち共産主義制度を認める立場や、『一国両府』・・・


つまり2つの政府の存在、あるいは一つの中央政府(北京)と一つの地方政府(台湾)が存在するという立場は承認できない。


現段階では、大陸と台湾という制度の異なった2つの地域が実質的に存在すること、すなわち『一国両区』という考え方に立ち、あくまでも対等の立場で民間交流を促進し、大陸地区の民主化つまり『和平演変』を待つしかない。


大陸の民主化を発展させるたあに、台湾はその触媒、ないしは灯台の役割を果たすだろう。


三つの段階を一歩一歩進めさせる重要な要素は、敵意を捨てた善意ある大陸からの反応だ。


大陸が台湾に対する敵対政策を放棄した段階で、初めて『三不(接触せず、交渉せず、妥協せず)政策』の見直し、航空機や船舶の『両岸直航」問題が調整されるだろう。


統一に時間表はない。


すべては中国側の出方と変化にかかっている。


あとは中国からの『善意ある回答』を待つしかない」。


敵意ある政治実体

中国という巨龍の存在から、片時も目を離すことのできないもう一つの「小龍」、台湾。


その台湾は1991年4月30日、長かった戦後体制にようやく終わりを告げました。


「動員鐵乱時期」の終結・・・。


つまり中国との「内戦」状態を理由に、社会や住民を強制的に戦争準備体制に組み込んできた時代に、ようやくピリオドを打った日です。


「戯乱」とは乱を平定すること、その平定すべき対象「反乱団体」とは中国共産党政権のことを指しました。


この日、記者会見した李総統は


「われわれは今後、中国共産党が実質的に大陸地区を支配している政治実体であることを否定せず、彼らを大陸当局あるいは中共当局と呼ぶことにする。


しかし彼らが台湾への武力侵攻の意図を放棄せず、国際外交の舞台で台湾を孤立化させる政策を継続しているかぎり、敵意ある政治実体と言わざるをえない」


・・・と宣言しました。


「敵意ある政治実体」という言い方も、従来の「反乱団体」「敵対団体」という位置づけから比べれば、一段もニ段も上の「格上げ」でした。


実は、この中国共産党の位置づけ、いわゆる「定位」こそ、今後の中台関係の交渉を進める上での重要なステップでもありました。


小さなボタン 2

香港の中国返還は、決して香港が中国に呑み込まれることではありません。


逆に香港がその経済圏を拡大し、広東省、そしてさらに内陸へと香港化を促します。


そしてそれこそが今の最大のビジネスチャンスと考える香港経済人は多いのです。


ウィルソン総督は90年11月、NHKのインタビュー番組に答え、香港の役割を「背広の前の小さなボタンの役目と同じです」と、次のように語ったことがあります。


「香港は中継基地として、貿易交通網がその命を支えています。


香港の成長を持続させるためには交通網の整備が至上命題です。


そうしなければ、ゴムバンドを腕に絞めて血液の流れを止めてしまうようなものです。


重要なのは97年で思考をストップさせるのか、その先を読んで計画するのかということです。


香港の将来に対するわれわれの責任は、97年を越えて何が香港の将来にとって有益かというヴィジョンを持つことです。


そして背広の右と左、中国という大きな国と外の世界をこの小さなボタンでしっかり結び合わせる役割を、香港は今後も持ち続けるでしょう」。


・・・その小さなボタンは、中国という背広の陰に隠れ、その変化のたびごとに打ち震えるだけの存在ではなく、ピカピカと輝く金ボタンとして、今後もその存在感を世界に誇ることができるでしょうか。

小さなボタン

華南経済圏で香港資本が雇用している労働力はすでに1万8000社、200万人といわれます。


実はこうした労働者のなかには地元・広東の人ばかりでなく、遠くは雲南や四川などから来た"省外人"も多いのです。


「盲流」といわれる農村からの不法流出者のほかに、四川省など省政府が広東省に労働者斡旋事務所を置き、自ら労働力を供給している例もあります。


香港資本の工場で働く従業員の給料は平均400元(約1万円)といわれます。


大陸の一般労働者のこ倍の給料は、その多くが家族に仕送りされます。


広東省に働きに出た地方労働者が、実は経済開放政策とは縁のない内陸部の住民の生活をも支えているのです。


・・・こうした人と金の動き、そしてそれを支える香港資本。


香港経済の動きは華南経済圏を越えて実際はもっと広がりを持ち、深い影響力を及ぼしているのかもしれません。


また、香港から海外への頭脳流出はしばしば話題になますが、香港から中国へ、つまり北への頭脳流出も5万人に上るといいます。


資本と技術をもって中国に乗り込んだビジネスマンも含まれます。

民主主義を考える 5

日本側関係者が視察後にもらした感想の弁です。


「これらの地域の市の幹部は、香港のビジネスマンと同じ波長でものを考えています。


経済の体制がどうあろうと実地感覚で企業効率を模索し、生産力向上を争っています。


中国という発展途上国の経済の踊り場として、この地域はアジア・太平洋地域でも最も可能性を秘めた地域と言って間違いない。


いまや香港の繁栄の実態を支えているのはまさに広東省だといえるぐらい、予想以上に経済の一体化は進んでいます。


97年以後、香港の発展・繁栄の灯が消えないか、などと心配している時代ではない。


この地域が香港とともにいかに成長していくか。


まさにグレーター・ホンコン(大香港)の発想の時代ですよ」。

民主主義を考える 4

香港日本人商工会議所では、商社や銀行など駐在員と日本総領事館のスタッフを定期的に集め、「華南経済圏研究会」という勉強会を開いています。


現地を歩いた駐在員らの調査・見聞をもとに、あの地域にはどんな経済基盤整備が必要かなど、かなり具体的なプランが話し合われています。


この会合の席でよく話題に取り上げられるのは、華南経済圏に香港新空港を含め新しく5か所も建設が進められている空港問題です。


国際空港をめざしているのは、このうち香港、マカオ、深馴の3つ。


そのほか恵州市と珠海市にも、それぞれかつての軍用滑走路を利用した空港建設の計画が進んでいます。


30キロからせいぜい100キロ未満の範囲に5つもの空港が本当に必要なのでしょうか。


返還後のこの地域一帯の将来像について、中国も香港も全体的な設計図を持ち寄って話し合ったことのない証拠だといいます。


香港日本総領事館を中心とする経済視察団が、珠江三角州の各市を訪問したことがあります。

放置自転車対策

駅周辺等における自転車の放置放置自転車対策台数は、近年、やや減少しつつある。

これは、自転車駐車場の収容台数が増加したことや、放置対策条例を制定する地方自治体が増えてきたことによるものと思われる。

なお、「放置自転車対策」として、条例で放置禁止区域を設定するとき、自転車駐車場という受け皿が必要かどうかについては考え方が分かれる。

神戸市や福岡市、横浜市では、放置禁止区域の設定に際し、近隣に放置台数の約七割を収容する駐車場があることを実際上のルールとして駐車場整備を行っている。

放置対策をすると約三割の利用が減るといわれ、これで路上にあふれる自転車はなくなると期待されるわけである。

これに対し、京都市の、なかでも中心市街地については、駐車場のスペースがないことや公共交通機関が発達していることから、自転車駐車場を整備することなく放置禁止区域を設定している。

神戸市の"自転車等の放置の防止及び自転車駐車場の整備に関する条例"は、放置自転車の多い駅を中心に約二〇〇~三〇〇メートルの範囲を放置禁止区域に当てることや、放置自転車の移動・保管料の徴収などについて定めている。

禁止区域内に放置された自転車は、市内六ヵ所に設けられた第一次保管場所に一ヵ月、市内一ヵ所にある第二次保管場所では二ヵ月保管し、引き取りのない場合は処分される。

なお、大型小売店舗等に対しては、自転車駐車場の設置を、同条例によって義務づけている。河成鎮美子さんによると、ところで、最近は、捨ててあるものは拾った人のものという"無主物先占"の考え方が定着し、自治体によっては、条例にもとづき撤去したもののうち引き取り手がない自転車を修理し、市民に格安で譲る、という放置自転車のいわば公営リサイクルを行っているところもある。

民主主義を考える 3

天安門事件後、中国への投資を出し渋る西側銀行界を説得して巨額融資を引き出したのは、この高速道路の設計・建設を一手に引き受けている香港の大手建設会社社長ゴードン・ウー氏でした。


日本からの取材に対し、ゴードン・ウー氏は


「香港と広東省の関係は、将来、東京と千葉、横浜、あるいは大阪と神戸、京都のような関係になるだろう」


・・・と、その構想を説明しました。


華南経済圏は90年代には香港経済圏を巻き込み、住民の平均収入が年間2000米ドルを超え、東南アジアで第6の「小龍」地域を形成するだろうと彼は予測します。


香港経済が実際の物の生産から流通サービス部門に移るにつれ、その後背地となる華南は香港に土地と労働力を提供し、材料を供給する生産基地となります。


香港は司令塔として商品のデザインや発注、そしてショーウインドーの役割を担うだけとなります。


これが、経済の緊密な一体化が進んだこの地域の将来像だといいます。


将来の「華南経済圏」構想について積極的な発言を行っているのは、実は香港駐在の日本の経済人たちです。

民主主義を考える 2

香港市民に向けて中国が発行する雑誌『紫荊』には、一未来の香港に特区という制度さえあれば、高度の自治もある」という一文を掲載し、次のように述べています。


「ある特定の人々は、『高度の自治』を理由に香港を大陸から絶縁した政治実体に変え、可能ならば、大陸の社会主義制度を資本主義制度に変容させようと夢みている。


香港に高度の自治が約束されているのは、ひとつの国という原則の下に中央が地方に授与した権力にすぎず、中華人民共和国の外にひとつの独立した"香港の内政"など存在しないのだ」。


・・・グレーター・ホンコンの誕生「97列車」の政治の車輪はこうした耳障りなきしみ音を響かせながらも、経済の車輪は快調な滑りを見せています。


1991年3月、香港で世界の銀行29行が参加し、広東省への国際協調融資の調印式が行われました。


総額8億米ドル(約100億円)。


天安門事件以降最大の民間融資といわれました。


投資対象は香港と広州市を結ぶ高速道路です。


将来この高速道路網は、広東省珠江デルタ一帯まで延長され、香港と広東省を中心にした華南経済圏の交通網整備にとって中核的な位置を占める工事でもあります。

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