小さなボタン 2
香港の中国返還は、決して香港が中国に呑み込まれることではありません。
逆に香港がその経済圏を拡大し、広東省、そしてさらに内陸へと香港化を促します。
そしてそれこそが今の最大のビジネスチャンスと考える香港経済人は多いのです。
ウィルソン総督は90年11月、NHKのインタビュー番組に答え、香港の役割を「背広の前の小さなボタンの役目と同じです」と、次のように語ったことがあります。
「香港は中継基地として、貿易交通網がその命を支えています。
香港の成長を持続させるためには交通網の整備が至上命題です。
そうしなければ、ゴムバンドを腕に絞めて血液の流れを止めてしまうようなものです。
重要なのは97年で思考をストップさせるのか、その先を読んで計画するのかということです。
香港の将来に対するわれわれの責任は、97年を越えて何が香港の将来にとって有益かというヴィジョンを持つことです。
そして背広の右と左、中国という大きな国と外の世界をこの小さなボタンでしっかり結び合わせる役割を、香港は今後も持ち続けるでしょう」。
・・・その小さなボタンは、中国という背広の陰に隠れ、その変化のたびごとに打ち震えるだけの存在ではなく、ピカピカと輝く金ボタンとして、今後もその存在感を世界に誇ることができるでしょうか。